RPGツクールMVでノベルゲームを作った工程と反省

昨日、百合ゲーム『姉ループ☆吸血鬼な妹はどっちのお姉ちゃんを選んだらいいの~!?』を完成させ、公開しました。

まだまだ公開したばかりですし、ゲーム制作者としては初心者を脱皮した程度なので偉そうなことは言えませんが、情報共有や自戒、メモとして、ゲームを作った工程と反省を述べていきます。

【1】ゲーム制作の工程

  1. コンセプト・工程決め
  2. タイトル画像の作成
  3. キャラクターイラストの依頼
  4. Excelでシナリオ作成
  5. 再度イラストの依頼
  6. データベース等
  7. 開発・テストプレイ

1.コンセプト・工程決め

私の中で、既に「百合ゲーム作りたい」という欲求があったので、ゲームジャンルは「百合」とすぐに決まりました。もし、「ダウンロード数を伸ばしたい」など、目標があるのなら、「自分の得意なジャンル」と「ダウンロード数の多いジャンル」を加味して、プレイヤー層を分析していく必要があると思います。私は趣味全開で作りたいものを作りたかったので、特に迷うこともありませんでした。他にも、「現代ローファンタジー」「魔法ありのハロウィン風の世界観」など、前々から作りたいと思っていたコンセプトをゲームに詰め込んでいき、ざっくりとしたシナリオをイメージしました。

次に決めるべきは作品形式です。RPGやADVでも良かったのですが、自分の作りたいシナリオは既にふわっとイメージできていたので、それを加味したところ、キャラを動かす必要性は無いと思い、ノベルゲームにしました。

製作ツールはRPGツクールMVにしました。もともとRPGツクールMVを購入していたという点と、先人のツクラーさんたちのノウハウが使えるという点が大きかったです。プラグインや素材がたくさん公開されていますし、何よりアニメーションが使えるという点が大きかったです。自分の文章力では、雷魔法がビリビリと流れているような表現は難しいと思いましたし、アニメーションがあった方が動きがあって良いかなと思いました。

初めてのRPGツクールMV作品でしたし、HTML5によってスマホでも遊べるという点から、各種ブラウザ、各種端末でのテスト工程が膨大になる事が予想されました(そして実際はそれ以上でした)。そこで、工程を決める際は、一ひねり入れました。作りたいゲームを「本編」とし、その前日譚となる超短編ゲームを「スピンオフ」として先に作ることにしたのです。これは結果的には正解でした。

2.タイトル画像の作成

私は形から入る方です。私のように形から入る人は、恐らくタイトル画像やキャラクターのイラストを最初に作成すると、とてもモチベーションがアップすると思います。私は絵は描けないので、絵師さんにまずタイトル画面を作成してもらいました。それをデスクトップの背景画像にして、「これから私はこのゲームを作るんだ」という「形」を先に作りました。

3.キャラクターイラストの依頼

キャラクターイラストも依頼しました。まだシナリオの細部を詰めていないので、途中で新規に追加でキャラクターが必要になったり、新規で表情差分が必要になることが想定されました。しかし、まずは依頼です。絵師さんに頼めばすぐイラストが完成するわけではないので、同時並行で作業を進めた方が効率的です。とりあえず絶対に使う主人公などのイラストを最初に依頼しておいて、シナリオが作成し終わったら、新規でキャライラストを追加発注しました。

4.Excelでシナリオ作成

主要登場人物のイラストの発注が終わった後、詳細なシナリオを作りました。

私はExcel大好き人間でして、Excelで作っていますw 後にRPGツクールMVにコピーして貼り付ける時に、セルを選択して貼り付ければワンタッチで張り付けられるんじゃないかという安直な理由です。もしもっと効率的な方法があったら教えてください<m(_ _)m>

シナリオの製作は順調でした。まず、カレンダーを作りました。シナリオは全9日間とし、2日目に何が起こって、3日目にこれが起こる、という大枠を作りました。その後、1日1日を作っていく感じです。1日1日を作っていく前に、登場人物一覧も作りました。

細かいことですが、「置換」機能を使えば、一発で既存のキーワードを置き換えることができます。後からネームや固有名詞の名称が変わっても安心です。

5.再度イラストの依頼

Excelでの全シナリオが完成するころには、絵師さんから主要登場人物の納品が来ました。モチベーションがさらにアップすると同時に、シナリオで追加で必要な登場人物や表情差分が発生していました。追加で依頼し、その間に私はシナリオをRPGツクールMVに打ち込むことにしました。

6.データベース等

前述の通り私は形から入る方なので、データベースや用語などを先に作って一覧化した画面を見るのが好きです。なので、RPGツクールMVにシナリオを打ち込む前に、データベースなどの体裁を整えて、モチベーションを上げました。

7.開発・テストプレイ

言うまでも無く、これが一番大変でした。特に、スマホでプレイするためのUIを改変するプラグインなどを自作したのですが、この作業に時間がとられました(プログラマなので、作業してて一番面白かったところでもあるのですが)。特にRPGツクールMVのUIはそのままだと全然スマホ向けではないので、選択肢の幅を大きくしたり、画面上に大きめのボタンを配置したりなど、そういった細かいUIを調整するのに膨大な時間がかかりました。

なお、先述した超短編の『スピンオフ』を先に作ったのは大正解でした。まず超短編の作品を作ってシステムのテストプレイをしまくって、ゲームプラットフォームを作った後、そのプラットフォームに長い本編のシナリオを打ち込めばいいからです。最初から長い本編を作っていたら、長い本編でテストプレイを繰り返さなくてはならず、テスト工程が膨大になったと思います。あえて「超短編という作品を作る作業を増やす」ことで、「作業量は増えたけれど効率的に作業ができた」という自分の中での好例になりました。

テストプレイは自分で何度も行い、その後にテストプレイヤーさんにお願いしました。バグだらけのゲームをテストプレイしてもらうのは失礼ですし、二度手間ですから、「これで完璧! テストプレイヤーさんにバグを指摘されないぞ!」ってレベルに達するまでテストプレイヤーさんにも公開しませんでした。テストプレイヤーさんはTwitterで募集しました。私のフォロワーの方に親切な人が多いのだと思いますが、意外と募集すると応募してくださる方はいらっしゃいます。「これで完璧!」なんて思ってテストプレイをお願いしても、続々とボロが出て、自分以外の人にテストプレイをしてもらうことの重要性を認識しました。重ね重ねになりますが、テストプレイしてくださった皆さん、ありがとうございました。

【2】ゲーム制作の反省

  1. 今やりたい作業を優先してやる
  2. 一番時間のかかる作業を考える
  3. マクロ視点、ミクロ視点

1.今やりたい作業を優先してやる

「今やりたい作業」は今やった方が良いと思います。二日ほど寝ると、今度は別の作業が「今やりたい作業」になっていたりします。そうであれば、今やりたい作業をやった方が効率的です。モチベが消えないうちに今やりたい作業を行ってしまいましょう。

2.一番時間のかかる作業を考える

ゲームを作る前に、まず、一番時間のかかる作業はどこなのかを考えると、工程づくりに役立つと思います。私は今回、一番時間のかかる作業を「プラグイン・スクリプト作り」だと踏んでいました。そしてその通り、かなり時間を費やしました。しかし、これは二番目で、一番時間のかかる作業はテストプレイでした。予想外に時間がかかる工程が発生するので、余裕を持った開発スケジュールが必要ですね。

3.マクロ視点、ミクロ視点

主にプラグイン作りで起きたことですが、プログラミングをしていると、3行目と4行目に新しい行を追加してif文を新たに作り……という、ミクロな視点になりがちです。「どうやったらこの機能を追加できるんだろう?」と考えるあまり、近視眼的になりがちであり、ミクロな視点で、「ここをこうして……」とどんどん行き詰まって行きます。行き詰まった時は、マクロな視点で、そのメソッドを呼び出す上位呼び出し元で解決できないかと検討するのもアリです(これで何度も目的の処理が可能になりました)。また、Google先生に登場してもらい、そもそも既存でプラグインがあるかどうかを探してみましょう。プラグインがなくても、ヒントがあるかもです。

【3】作り終えてみて

「モチベーション」を連呼しましたが、私は作りたいゲームを作っていただけなので、幸運にも、モチベーションがなくなったりとかはありませんでした。しかし、他の製作者さんのツイートを見ると、モチベが足りなくてエターなりましたっていうのをよく聞くので、モチベって大切なんだなと思う次第です。モチベを上げ続けるための工夫は必要かもしれませんね。

偉そうなことを書き連ねていきましたが、まだ全然ゲーム作者としては未熟な感じです。今後もまだまだゲームを作って行こうと考えていますので、まだまだ精進し、勉強を重ねていこうと思っています。

【4】作品へのリンク

前述した超短編スピンオフ作品、『リアお嬢様の不幸な一日~わたしくはどんな不幸も華麗に受け流してみせるわよ?~』はコチラです(一般向け、30分程度)。

 

本編の百合ゲーム『姉ループ☆吸血鬼な妹はどっちのお姉ちゃんを選んだらいいの~!?』はコチラです(百合好き向け、4時間程度)。